1.はじめに

 生徒が目を輝かせる教材・教具はないだろうか・・・いつもこのことばかり考えています。
10年程前、僕が新採用研修の時、永野修先生(講師して下さったと記憶しています)から『やりがんな』を見せて頂きました。「凄いっ」と鳥肌が立つと同時に、扱う教材・教具で授業の面白さが大きく変わるのだ、と開眼させられたのを覚えています。続いて、三条市で勤務したときに出会った滝沢製作所の滝沢社長から、包丁・ナイフづくりを教えてもらいました。選択技術で扱いましたが、あの時の生徒たちの目の輝きには感動させられました。多くの生徒が昼休み返上で研いでいました。社長の「ただの鋼の塊に魂を吹き込む」という言葉に感銘を受け、僕自身も作業に熱中し、ナイフを何本も作りました。

 さらに生徒を熱中させるものは・・・と探しているとき、TVのある番組で興味深いものを見つけました。「手作り腕時計(ハンドメイド・ウォッチ)」です。そもそも腕時計は人類の文化・技術の集大成ですし、僕自身も以前から興味をもっていました。特に機械式は、いつかは身に付けたいと願うものでした。そんな腕時計がメーカーではなく一般の日本人に手作りされている、ということに驚きました。最近、首都圏を中心に手作りの腕時計が徐々に流行しているのだそうです。ネット上で売られている製品はどれも高額でしたが、手作り感たっぷりの無骨さとシンプルさに、これなら僕にも作れそうだし、生徒も飛びつくのではないか、と直感しました。

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松緑職人組合